プロローグ
僕にはアーモンドがある。
あなたにもある。
あなたの一番大事な人も、
一番嫌っている誰かも、それを持っている。
誰もそれを感じることはできない。
ただ、それがあることを知っているだけだ。
-「アーモンド」より引用
扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない16歳の高校生ユンジェ。ばあちゃんに「かわいい怪物」と呼ばれていたユンジェの前に、もう一人の怪物が現れる。怒りや恐怖心を体いっぱいに宿した怪物が。
人が感情的になるときというのは、いったいどんな時なのだろう。
人と違うという、ただそれだけで、人は恐怖におびえたり、怒ったりするだろうか。
人と違うということだけでは何かが傷つき、損なわれることはないはず。
では、どんな時に人は怒りと恐怖を感じ、感情的になるのだろう。
痛み、劣等感、寂しさ、蔑み、悪口…。それを受けた時、もしも感情がなかったら、その情景はどのように見えるのだろう。
怒りや恐怖を超えて、その人を理解することはできるのか。愛することはできるのか。
そんなことを思いながら、一気に読んだ本でした。