「アーモンド」ソン・ウォンピョン 

プロローグ

僕にはアーモンドがある。

あなたにもある。

あなたの一番大事な人も、

一番嫌っている誰かも、それを持っている。

誰もそれを感じることはできない。

ただ、それがあることを知っているだけだ。

-「アーモンド」より引用

 

扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない16歳の高校生ユンジェ。ばあちゃんに「かわいい怪物」と呼ばれていたユンジェの前に、もう一人の怪物が現れる。怒りや恐怖心を体いっぱいに宿した怪物が。

人が感情的になるときというのは、いったいどんな時なのだろう。

人と違うという、ただそれだけで、人は恐怖におびえたり、怒ったりするだろうか。

人と違うということだけでは何かが傷つき、損なわれることはないはず。

では、どんな時に人は怒りと恐怖を感じ、感情的になるのだろう。

痛み、劣等感、寂しさ、蔑み、悪口…。それを受けた時、もしも感情がなかったら、その情景はどのように見えるのだろう。

怒りや恐怖を超えて、その人を理解することはできるのか。愛することはできるのか。

そんなことを思いながら、一気に読んだ本でした。

 

 

 

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「セミ」ショーン・タン

ショーン・タンの5年ぶりの新作。

灰色のオフィスで17年間、

けっきん なし、ミス なし、しょうしん なし、いえ なし、そうべつかい なし、かんしゃ なしで働いたセミのおはなし。

セミはニンゲンじゃないから、ニンゲンのことを笑って森に帰ったけれど、私たちは…。

共犯者たち

逃亡犯条例改正への抗議で続いていた香港国際空港のデモは一旦撤収して、通常運行になったようです。

日本のニュースではお盆休みで旅行に行く予定が、飛行機が飛ばずに困っている人たちが映し出されていました。

その映像を見ながら、映画の中で「本当はデモがいいとは思っていない。でも、もう他に方法がないんだ。」と話していた記者のことを思い出していました。

その映画は「共犯者たち」

これもポレポレ東中野の「政治映画はサスペンスである」の特集で上映されていた映画です。

これは韓国の公共放送KBSと公営放送MBCが、一時は政権の圧力に屈しながらも、抵抗し続け、そのすべてをカメラで追い続けたドキュメンタリー映画です。

KBSの鄭元社長が、「盧武鉉大統領は在任中1度も電話をかけてこなかった」と話すシーンから映画は始まります。盧武鉉政権時代は政府からの圧力がなく、政府を批判する番組も放映され、時事番組も増えた黄金期でした。ただそれはそこで働くジャーナリストが闘って勝ち取ったことではなかった。元KBS記者の金京来さんはこう振り返っています。

盧武鉉政権から李明博へと政権が交代。するとKBSの社長は大統領の息のかかった天下り社長に交代。時事番組が廃止され、番組に関わっていたPDたちは次々に解雇、政府が不快に思う出演者もブラックリストに載せられて、番組から降板させられて行きます。そしてそれはMBCにも及び、同じように社長が交代させられ、それに抵抗し、ストライキを起こしたPDたちは解雇、懲戒処分を受けます。

その一部始終をカメラは追っていきます。この映画を作った崔承浩監督は、解雇されたMBC PDの1人でした。

質問しようとした瞬間にものすごい勢いで逃げる、解雇の理由を聞くと「放送の未来を壊さないでくれ」とそればかり繰り返す「共犯者たち」

MBC、KBSのストライキは170日間など長期に渡るものもあり、社内のたくさんの人が声をあげる中、そこには私が韓国にいた時好きだったユンドヒョンバンドも参加していたり、このままではいけないという人々の熱気で、すぐに体制はひっくり返るようにもみえたのですが、そんなこともなく。ユンドヒョンも干され、テレビから遠ざかります。

職を追われ、管轄のスケートリンクで仕事をする元 PDや、病に倒れる人もいる中、それでもカメラを回し続け、政権は李明博から朴槿恵大統領へ。

政権が変わっても、押さえ込まれたメディアの構造は変わりません。権力を前に押し黙ってしまったテレビ局は、セウォル号沈没事故で、現場の声を無視し、政府からの情報だけを鵜呑みにし、「全員救助」の大誤報を流します。

その後朴槿恵の親友で民間人の崔順実が国政に介入した「国家の私物化」事件、崔順実ゲート事件が発覚し、100万人規模のろうそく革命、ろうそくの灯りを灯した市民たちのデモが起こり、朴槿恵政権は倒れ、文在寅政権に変わります。

そんな中、回し続けたフィルムは映画となり、企業広告を取らず後援会員からの会費で運営される「ニュース打破」で制作、公開され、26万人を動員、ドキュメンタリー映画としては異例のヒットとなり大反響を呼びました。

この映画を観て、鳥肌がたったところが2つ。

ひとつはMBCの社屋で1人、誰もいない中「金張謙(社長)は出て行け!」と叫ぶ姿をスマホで自撮りし、SNSにUPした金敏植 PD。

笑顔で元気よく叫ぶ姿とは裏腹に、「奥さんに「これを続けて、誰もそれにのらなかったら、あなただけが変な人になるだけ。」そう心配された」と力なく話す姿もカメラに収められています。誰でもそれが自分の中の正論であったとしても、1人で声をあげるのは怖くて不安です。

しかしカメラはその先、声をあげた金敏植 PDに呼応して、1階のロビーで何十人もの人たちが自撮りライブを始めるシーンに変わります。

特別な演出も音楽もない、そんなものは必要なくただ現実にこういうことはちゃんとあるんだ。それを見ただけで鳥肌が立ちました。

もうひとつは映画には描かれていない、この映画のその後。

解雇されても、逃げられても、ずっとカメラを回し続け、大統領にも突撃取材して、「記者が質問できなくなれば国が滅ぶ」「ジャーナリズムをダメにした破壊者だという批判をどう思いますか」と質問を浴びせた崔監督。

今はMBCの社長になっています。

朴槿恵政権が倒れ、KBS、MBCがそれぞれ142日間、71日間ストライキをした後、両社の社長は解任され、MBCでは不当解雇された記者6名が復帰、崔承浩社長が就任しました。

この映画には仮名やモザイクでの出演はほとんどありません。その上でおかしいことはおかしいと言う。うやむやにされそうなことを明らかにする。声をあげる。

韓国はデモの多い国で、日本では何かというと反日デモが取り上げられますが、他のことでもよくデモをしています。まず声をあげる。私たちが政権を監視して正さなければ。そう思っているのだなと思います。

ふと日本はどうかなと思った時、デモはあまりないように思います。では日本の政治に問題はなく、みな満足しているのかといったらそうでもないし、メディアが権力に屈せず、政府の腐敗や問題、課題を明らかにしているかといったら、そんなこともない。

でもみなあまり声をあげない。

この違いは何なのか。

教育なのか?

ジャーナリズムが、市民が闘って勝ち取った経験があるかないかの違いなのか、

政治に、政府に痛めつけられた経験があるかないかの違いなのか…。

私自身、今の日本に声をあげることがあるのか、

なぜそれについてすぐ答えられないのか、

いろいろあるけど満足しているからなのか、

声をあげるのが怖いのか…。

映画を観た後は、とても爽快だったのですが、ふと今の日本と自分の問題として見た時、その爽快さはなく。

それでも、自分のいる場所で「?」をずっと持ち続けて、考え続けていきたいとそう思えた映画でした。

ポレポレ東中野で18日(日)15時から観られます。

このポレポレ東中野の

政治映画はサスペンスである特集上映

ラインナップもすごいなと思うのですが、パンフレットにある文もよかったです。

政治に関しては正しくわかろうとするあまり、何も言えなくなっちゃったり、いろいろ読んでいるうちに何が正解かわからなくなったりすることが多い気がします。

真実を知ろうとしても、見方によって真実も事実もコロコロ変わってしまう。

それは料理の味だって、服のセンスだって、芸術作品だってみんなそんなもんだし、政治や歴史だって大して変わらない。

なのに、政治や歴史についてはたった1つの正解を自分の意見としなきゃならないような、そんな強迫観念がどこかにあって。

でもサスペンスドラマを見るように、あーだこーだいいながらこうした映画を観るのもおもしろいのではないかと。

「天気の子」を観て語るように、「主戦場」や「共犯者たち」を観て語れたらと。

どれもとても好きな映画で、今年の夏は好きな映画をスクリーンで観ることができていい夏休みでした。

「主戦場」

8月の上旬にポレポレ東中野の「政治映画はサスペンスである」という特集上映で、「主戦場」を観てきました。

映画は慰安婦問題について、「強制連行」「性奴隷」「20万人」「歴史教育」などのキーワードで区切られており、

*「強制連行」は本当にあったのか?

*彼女たちは「性奴隷」なのか、「売春婦」なのか?

*「20万人」という数字はどこから出てきたのか?

などについて、様々な意見を持つ27人がインタビューに答え、独自の見解を述べています。

27人以外にも強制連行について安倍首相が答弁したシーンや河野談話も流れます。

慰安婦問題というと、重く難しいと敬遠されがちなのですが、キーワードで区切られていて、その背景や言葉の説明などもあるからか、わかりやすく頭に入ってきました。

そして、ある程度内容が頭に入った後なので、インタビューに答えている人たちの言い分、たたずまい、その言葉を聴いた時の自分の気持ちに集中することができました。

文字だけでは感じ取れないかもしれない、その人そのものが醸し出す雰囲気というものも、インタビューでは見えてきます。

映画を観ていて感じたのは

歴史認識の問題、どちらが正しいか、事実かということ以上に、そこに浮かび上がってくるもっと別の感情的な何か。傍観者にはなり得ないザワザワした何か、でした。

特にザワザワとしたのは、

「強制連行」はなかったのかについて

官憲が家に押し入って、人さらいのように連れて行ったわけじゃないから、なかったとする答弁や、

「性奴隷」ではないのかについて、そこから逃げ出すことなど不可能な状況だったにもかかわらず、お金もあったし、ピクニックに行ったり買い物したりしていたから、性奴隷ではないとする考えを聴いた時。

少し前、日本で実父から受けた性被害を訴えたにもかかわらず、実父が無罪になる裁判が続き、問題視されていたけれど、それも「抗拒不能」ー全く抵抗できなかった状態ではなかったからという理由で無罪になったことを思い出しました。

そしてラストの初めて慰安婦の体験を話したキムハクスンさんの証言。

戦後慰安婦であったことをなかなか話せず、やっと証言をしたら、証言が信頼できないと嘘つき呼ばわりされたハルモニたち。

戦後すぐの賠償問題の時にはまだ慰安婦のことは知られておらず、2015年の日韓合意ではハルモニたちを置き去りに合意に至っており、映画の冒頭はその報告に来た韓国政府要人に詰め寄るイヨンスさんの姿、ラストは初めて名乗り出たキムハクスンさんの証言で終わっています。

このハルモニたちと関係のないところでうごめくものがなんと多いことか。

そして、

「どんなに頑張っても中国や韓国は日本より優れた技術が持てないからプロパガンダで日本を貶めている」

「日本人は子どもの頃から嘘をついちゃいけませんよと(教えられてきた)」

「(中国や韓国の)嘘は当たり前っていう社会と、嘘はダメなのでほとんど嘘がない社会(日本)のギャップだというふうに、私は思っています」(衆議院議員 自由民主党 杉田水脈氏)

「フェミニズムを始めたのはブサイクな人たちなんですよ。ようするに誰にも相手にされないような女性。心も汚い、見た目も汚い。こういう人たちなんです」(テキサス親父マネージャー 藤木俊一氏)

「国家は謝罪しちゃいけないんですよ。国家は謝罪しないって、基本命題ですから。是非覚えておいてください。国家はね、仮にそれが事実であったとしても、謝罪したら、その時点で終わりなんです」(新しい教科書をつくる会 藤岡信勝氏)

インタビューの中で本気でそう話している人がいることの驚き。

97年、中学校教科書のすべてに慰安婦の記載があったけれど、2012年にはその記載は完全に削除されているということも初めて知りました。

他にも、映画の中にもあったヘイトスピーチ。

あの憎しみはどこから来るのだろう。

いつまであの憎しみにさらされなければならないんだろう。

なくすためには何をしたらいいんだろう。

韓国で日本について、日韓関係について話をすると、「この部分は日本はおかしいと思う。だから好きになれない。」という意見はよく聞いたことがあります。

けれど、日本で行われるヘイトスピーチのような、感情に任せて、毛嫌いするような、突き刺さされるような言葉を浴びせられたことは、6年間住んでいて1度もありませんでした。

慰安婦問題、あいちビエンナーレ芸術祭、ホワイト国、DHC…。日韓の間でいろいろなことが起きています。

両国共に政治に利用されていることも多い。けれど、いろいろなことを言っている人たちの言葉を、表情を、行動をしっかり見ていけば、国の違いでお互いを憎しみ合うことにはならないはず。

そうならないように努力することはできるはず。

そして、ラストの監督からの問い。

自分はどう思うのか、ぜひ一度観て、関わっていってもらえたらと思います。

ポレポレ東中野

政治映画はサスペンスである特集

8月23日までやっています。

ぜひ。

小説版「天気の子」

新海誠監督自身が執筆した映画「天気の子」のノベライズ版。

映画化された原作を読んだことはあっても、映画のノベライズ版を読んだことは今回が初めて。

映画を観てから読んでいるので、いろんなシーンが目に浮かび、やっぱり小説じゃなくて映画を観たくなります。

夏休みのお楽しみアニメのつもりで、小5の娘とその友達を連れて「天気の子」を観に行ったら、不覚にも泣いてしまいました。

映画の内容を話してしまうとネタバレにもなってしまうので言えないけれど、私はラストがとても好きです。今も心に残っています。

あとがきに「君の名は」が想定を超えるヒットをしてしまい、その時に「だいぶディスられた」新海監督が、「天気の子」を作る上で心に決めたことが書かれているのですが、

これが、ショーン・タンがインタビューで話していたこととつながって、同じ時期に同じようなメッセージを受け取ったことに、少し驚いています。

「僕が毎回驚かされることは、自分にとっても他人にとっても最良の作品というのは、実は一番奇妙で、個人的で、変わっていて、癖のあるものだということです。

それはいまだに驚くべきことですが、信じようと思っています。」ショーン・タン

「映画は正しかったり模範的だったりする必要はなく、むしろ教科書では語られないことをー例えば人に知られたら眉をひそめられてしまうような密やかな願いをー語るべきだと、僕は今さらにあらためて思ったのだ。

教科書とは違う言葉、政治家とは違う言葉、批評家とは違う言葉で僕は語ろう。道徳とも教育とも違う水準で、物語を描こう。

それこそが僕の仕事だし、もしもそれで誰かに叱られるのだとしたら、それはもう仕方がないじゃないか。僕は僕の生の実感を物語にしていくしかないのだ。」新海誠

大ヒット作の次で、タイアップもたくさん、宣伝もバンバンされる中で、「天気の子」はそんなこととは関係なく、本当に新海誠監督の作りたいものを作ったのだと思いました。

そしてそれが私には心に響きました。

今回も音楽はRAD WINPSの野田洋次郎さん。

この機会にたくさんの歌を聴いてみました。

野田さんは詩人だなと思いました。

映画のラストに流れる歌。

君を大丈夫にしたいんじゃない

君にとっての 「大丈夫」になりたい

自分の思う通りで、大丈夫だから。

そんな気持ちで子どもたちの、家族のそばにいたい。そう思いました。

KPOPで学ぶ韓国語

KPOPで学ぶ韓国語

日韓の仲が冷え込んでます。

韓国人の夫と結婚して20年が過ぎていますが、

これまでにも何度も冷え込んできました。

政治的な絡みがいろいろあるんだろうと思います。

冷え込むたびに、いつも心配してきましたが、それで夫婦仲が悪くなることはなく(他のことで夫婦げんかはありますが😅)、3人の子どもと平和に今まで暮らしてきました。

私たちにとって、両国は仲良くいてほしい。

そして、両国の関係が冷え込んでも、古くは長渕剛、X-JAPANは韓国で人気でしたし、宮崎駿を始め日本のアニメも愛されています。

そしてKPOPは今世代問わず大人気です。

私自身、去年までKPOPの世界をほとんど知らなかったのですが、今はたくさん聴くようになりました。

焼け石に水かもしれないけど、両国が仲良くなるために私に今できることもあるはず。KPOP聴きながら、推しについて語りつつ、韓国語も覚えられたら、楽しいかな?と思って(^^)

(私の推しはSHINeeのキムジョンヒョンさんです)

行きたい!という方はriemorning@gmail.comまでご連絡くださいね。その時にあなたの推しも教えてください(^^)

夏のルール/ショーン・タン

久しぶりに本の紹介を。

8月になり、夏本番なので、この本を。

表紙を見て開いて、見返しの絵、タイトル、1ページに入るあたりでもう、夏の気配がいっぱいです。

7月で終わってしまったのですが、ショーンタン展に行ってきました。

たくさんの原画が展示されていたり、アトリエが再現されていたり、ずっとそこにいたくなるような空間でした。

そこに確かに息づいているものたち。

目に見えなかったり、なまえもないかもしれないけど、確かにあるもの。

たくさんの贈り物を受け取ったように思いました。

この夏、ショーンタンの本を時々紹介していこうと思います。

そうそう「夏のルール」の前に、ぼくたちは探検旅行もしているんです。

そのお話はこの本の中に収録されています。

この探検旅行、私もやってみたくなりました。1人じゃなくて、だれかと。

招き猫@豪徳寺

豪徳寺に行ってきました!

招き猫で知られる豪徳寺。

最近では招き猫電車も走っています。

うちの店からだと

まっすぐ行って

突き当たりを左に曲がり、1本目の角を右に曲がります。

角には案内が出ています。

1本目の角にを左に曲がってまっすぐ行くと正門です。

城山通りから参道を通って行く行き方もあります。

本堂

招き猫さんや御朱印などはこちらで。

私も今日、1番小さな豪徳寺さんの招き猫と根付を買いました。

少しずつ大きくしていこうと、まずは1番小さいのから。

お参りしてくれた方にお土産招き猫を売らせてもらってますとご挨拶。

願いが叶って戻ってきた猫がたくさん。

外国の方々続々と。

ご近所雑貨屋さんで販売中の猫バッグを持っていったら、受け付けに居る人が喜んでくれました。

うちで扱っているお土産用の招き猫たち。

主に外国から来たお客さんたちに買ってもらっています。

そこで簡単な道案内と、帰国した後の招き猫たちを写真に撮って送ってね♡の案内を作ってみました。

豪徳寺に来てくれたことがいい想い出になるといいなと思っています。