この本、まず最初からびっくりします。この人、幼稚園入園のその日から、小学校を卒業するまで、1度も人前で話さなかったというのです。家では普通に話しているのに。確信犯というかなんというか…。
そのエピソードを読んだ時に、お母さんはさぞ心を痛め、大変だっただろうなぁと思いました。
高校卒業後はまた誰にも言わず家出しちゃうし…。
しかし、ここまで自分の思いを通す芯の強さが育っていれば、あとは社会に揉まれてなんとかなるのかもしれません。
その辺りのお話はほんのさわりで、その後本屋さんを始め、その本屋さんを畳み、新しく「ホホホ座」を始めていくまでのことがたくさん書かれています。
わたしがこれこれ!と思ったのは、この部分。
「本屋の面白いところは、一つのジャンルでも色んな考え方を隣り合わせて提案できるところだと思う。食事の話ひとつとっても、野菜がいいという本、肉食がいいという本、何も食べないほうがいいという本など、様々な思想が横一列に並ぶ。
僕は本屋が思想をコントロールし、本を選ぶのはマズいと思っている。なので、正反対の考えの本を横に並べたりもする。いくらセレクトショップを気取っても、最終的に本を選ぶのはいつもお客さんだ。」
「あかちゃんといっしょ」のネットショップをしている時に、いつも思っていたことでもあります。
「囲い込み」「教育」という言葉でビジネス「戦略」的に言われたこともあったけど、どうにも違和感があったこと。
うちの店も、どちらも並べて、お客さんに考えて選んでもらえるような店にしたいと思っています。
「ガケ書房の頃」夏葉社